外壁塗装・シーリング工事とは?

①シーリング(コーキング)工事について


外壁塗装の見積を取った時、見積書の中に【シーリング(コーキング)工事】と書かれているのを見て、シーリングって何?と思われた方がいらっしゃると思います。シーリングの意味は密閉するとか塞ぐという事です。シーリング工事というのは【外壁ボードやコンクリート、タイル同士のつなぎ目】や【外壁とサッシ回りのすき間】などのつなぎ目や、すき間にシーリング材を充填する工事のことです。


シーリング材(コーキング材)とは、シリコン樹脂や天然樹脂、合成樹脂、アルキド樹脂などと、鉱物質充填材(炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のものです。硬化するとゴム状になる、建築物の気密性や防水性を高めるための充填材です。現在、ほとんどの新築住宅で採用されている、サイディングや、ALCパネル・タイルといった外壁材を貼るために、目地に充填されるのが【コーキング(シーリング)】です。また、モルタル外壁のひび割れを補修する時にも、コーキング工事が行われます。


シーリングとコーキングの違い


コーキングとは詰める、2つのものを1つにくっつける、ふさぐという意味です。コーキングは、ワインの栓などに使われるコルクから派生している言葉なので、コルクのように隙間を詰めるという考え方をすると分かりやすいと思います。シーリングとは封印する、密閉する、ふさぐ、という意味です。シーリングは、私たちがステッカーやラベルと同じような意味で使うシールから派生している言葉で、シールのように密閉すると考えると意味が分かると思います。


【シーリング工事】と【コーキング工事】どちらも外壁ボードなどのつなぎ目等のすき間を充填することを言います。シーリングとコーキングに違いはあるのかというと、実はとても曖昧です。ですから、どちらもおおむね「建物のすき間などを埋める工事なんだなと思っていただければ良いと思います。


②シーリングの種類


*アクリル系


水性タイプのシーリング材なので扱いやすく、価格も比較的安い種類です。耐久性が低いためリフォーム工事ではあまり使われません。主に新築時や内装の目地などに使用されます。


*ウレタン系


密着性に優れており、硬化するとゴムのように弾力性を持つため、クラック(ひび割れ)補修や目地の補修などで使用されます。ただ、紫外線に弱く汚れやすいという特徴があるので、シーリングの上から塗装して保護する必要があります。


*ポリウレタン系


柔軟性や弾性、耐久性に優れており、幅が広い目地にも対応可能です。戸建てのサイディングやALC外壁の目地に使われます。


*シリコン系


耐久性、耐候性、耐熱性が高く、主にキッチンや浴槽などの水回りに使用されます。ただしシーリングの上に塗装をしても塗料が密着しないで剝がれてしまうため、外壁塗装ではあまり使われません。


*変成シリコン系


耐久性が高く、さらに塗装とも相性が良いためシーリングの上に塗装できるという特徴があります。現在最も使われている種類で建築物の内外装、水回り、金属などの様々な場面で使われています。


③何故シーリングが大事なのか?


*シーリングの役割


水や汚れの侵入を防ぐ


まず樹脂製品であるコーキング材は水や空気を通さないので、つなぎ目やすき間に注入すると密閉されます。例えばお家の中で言うと、お風呂場の浴槽と壁の境目やキッチンの壁とシンクの間を埋めている、線状で弾力性のあるゴムのようなものがシーリング材が硬化したものです。水を多く使う場所で建物内部に水が浸透するのを防いでいます。


そして外壁のすき間も同じように、雨などが建物内部に侵入するのを防ぐ必要があります。


外壁から建物内部へ雨水や汚れが侵入することは、大切なお家にとってはかなりのダメージになります。雨漏りが起こったり、内部の躯体まで水が侵入してしまうと、腐蝕したり、水を好むシロアリがついたりして、大がかりな修繕を余儀なくされる場合もあります。


そうならないために、建物のすき間を密封して水などの侵入を防ぐシーリング工事は大変重要になります。


外壁同士などのクッション


サイディングやコンクリートなどの外壁材は、外気温や湿度の変化によって膨張したり、収縮したりします。地震による揺れなどで、ひび割れやゆがみで破損しやすくなり、外壁の耐久性が低下する可能性があります


外壁同士のつなぎ目やサッシのすき間に弾力性のあるシーリング材を充填してクッションの役目をさせ、外壁の動きに追随させて、サイディングなどの外壁のひび割れやすき間の発生を軽減させます。


シーリングは外壁材のズレを吸収するという大切な役割も担っています。

壁材は、日光・風雨・地震などによって、微妙に収縮したり、ズレたりすることがあります。このズレを、伸縮性のあるシーリングが吸収して、微調整しています。地震や道路沿いなどで、建物が揺れる際に「緩衝材」となってくれています。


④シーリングの寿命


実はシーリングには寿命があります。


種類や環境にもよりますが、シーリングの寿命はだいたい7年から12年位と言われています。


外壁やシーリングは日々紫外線や酸性雨などにさらされています。シーリングの最大の劣化原因は紫外線です。(輪ゴムも太陽の当たる所にずっと置いていると固くなって切れたりしますが、それと同様のことが生じます。)

シーリングが劣化すると瘦せてきてすき間が出来たり、固くなって弾力性がなくなったり、ひび割れてボロボロになります。


こうなってしまうと建物のすき間を密閉できないのはよくお分かりいただけるかと思います。


また弾力性が無くなっているため建物の動きに追随できないために、建物への亀裂の発生につながりかねません。


このようにシーリングの寿命を迎える前に、シーリング打ち替え工事を行うことが重要です。


外壁の塗り替えを検討する時というのはシーリングの劣化も進んでいる状況だと思いますので、併せて工事を行うことをお勧めします。


⑤シーリングの劣化症状


*シワ・ひび割れ



紫外線や雨風などの影響によってシーリングの弾力性が失われ、振動や温度変化による伸縮に対応できずに亀裂が入ってしまう劣化症状です。「数年以内にシーリングが寿命を迎えてしまう」というサインと考えましょう。


ひび割れを放置すると、さらにシーリング材が硬くなって亀裂が入り、やがては 切れてしまう破断と呼ばれる状態になります。ここまで劣化が進むと早急な補修が必要となりますので、ひび割れを見つけた段階でリフォームを検討するほうが良いでしょう。


*瘦せ



可塑剤と呼ばれる、シーリングに柔軟性を持たせる成分が表面に溶け出してしまい(ブリード現象といいます)、それにより厚みが失われている状態です。放置しているとすき間ができて雨水が侵入したり、シーリングと外壁材そのものが剝がれてしまう可能性もあります。


*はがれ



シーリングの弾力が弱くなってくると、施工した部分がやせて細くなる「肉やせ」という現象が起き、外壁材との間にすき間が生じます。やせの状態を放置すると、さらにシーリングが減って「剝離」してしまいます。


やせ・剝離したシーリングをそのままにしていると、すき間から雨水などが侵入していきます。早急にリフォームが必要な段階です。


⑥シーリングの補修価格・費用相場はどれ位?


シーリングの補修には、2種類の工法があります。


*シーリング打ち替え


既存のシーリングを全て撤去して新しいシーリングを施工する方法です。全てのシーリングを変えるので費用はかかりますが、耐久性や防水性は後でご説明します「増し打ち」に比べて高くなります。

当社では「打ち替え」をお勧めしています。


シーリング工事は、メーター(m)単価で計算されることが多いため、合計数が長いほど費用も増します。


シーリング代約900~1200円/m

既存シーリング撤去費 約1~3万円

足場設置費用 約15~25万円


例えば、一般的な2階建ての住宅に合計150mの施工をした場合、

(900x150)=13万5千円~  (1200x150)=18万円


シーリング打ち替えの大まかな相場の価格帯となります。


そして、ここに撤去代1~3万円、足場代15~25万円がプラスされると、全体の費用はおおよそ 30~46万円程度かかると考えられます。


*シーリング増し打ち


シーリングの「増し打ち」は既存のシーリングの上に充填するため、「打ち替え」よりも使用するシーリングの量が少なく、価格も安くなります。


シーリング代約500~900円/mです。


例えば、合計150mの施工をした場合は、

(500x150)=7万5千円~  (900x150)=13万5千円


シーリング増し打ちの大まかな価格帯となります。


そして、増し打ちの場合はシーリングの撤去代はかかりませんので、足場代15~25万円だけをプラスして、全体の費用はおおよそ 22万5千円~38万5千円くらいになるでしょう。


⑦シーリングの打ち替え工事の流れ 


*既存のシーリング材撤去



カッターやナイフなどで切り込みを入れた後、ペンチなどを使用して引っ張り、傷んだ既存の劣化シーリングをはがしてしっかりと撤去します。


*清掃



劣化シーリングを撤去した後に取り残しがあると接着性が落ちるため、取り残しがないように溝の内側をていねいに清掃します。清掃をする事で耐久性も上がります。


*養生プライマー塗布



マスキングテープでシーリングしない部分を養生(マスキング)します。これでシーリング材がはみ出すことなくきれいに仕上がります。


その後密着をより良くするために刷毛でプライマー(接着剤)をていねいに塗布します。シーリング材がより密着することで、めくれにくくします。


*シーリング材充填



プライマーが乾いたら、シーリング材をたっぷりと充填していきます。ここでたっぷり入れないと奥までしっかり入れ込むことができません。また注入する量が足らないと縮んですき間が出来てしまいます。


充填した後は専用のヘラで中にすき間ができないように均等に押し込み均していきます。


*完了



シーリングが乾ききる前にマスキングテープをはがします。その後しっかりとシーリング材が乾いたら完成です。


まとめ


色々とシーリングについてご説明させていただきましたが、シーリング工事の大切さについて少しでもご理解頂ければ幸いです。シーリング工事はどうしても足場が必要になります。(平屋建てでも必要です。)外壁塗装と同時にされることをお勧めします。新築から少しずつ外壁やシーリングが傷んでいきます。一度傷んだものは元には戻りません。その時点で傷みが進むのを止めて外壁塗装などをすることになりますので、少しでも傷みが少ない時期の工事を強くお勧めしています。当社では塗装歴30年以上のベテラン職人が心を込めて工事をさせていただきます。職人によって出来栄えも変わってきます。お客様の綺麗になって良かったというお声をお聞きしたいと思っております。


よろしくお願いいたします。 ECOハウジング周南